ふるえる/
岡部淳太郎
そして、夢のまくらをたたいてさまよいながら、
そのなかでもあなたはふるえはじめる。きのうもきょ
うも、おおくのいさかいがあった。あすもきっと、よ
くないことがおこるだろう。そのために、風はいつま
でもふるえ、夢とまだみえない時を、あなたをとおし
てつないでゆくのだ。みあげれば、たましいのような
くも。そのすきまから、ほそいひがさしこんでくる。
ふるえるのは、風がふくからだと、夢の人はいった。
(二〇一二年七月)
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