地を這う男/ホロウ・シカエルボク
ことを良しとしていないのか、あるいは食べようという気が起こらないのか、死んでしまうのではないかと思えるほどに消耗して痩せ衰えているのに、時折外野のものが親切にも投げ与える食物には一切手をつけようとしなかった、金を投げ与えるものもいたがそれにも同様に興味を持たなかった、冷やかしにも、励ましにも、問いかけにも答えようとはせず、耳を向けている様子もなかった、もしかすると、耳も聞こえなければ口もきけない、そういう人間かもしれなかった、だが道端で彼を見つめているものたちには、前述したような理由からまるでそれを確かめる術は無かった、目は見えていた、それは誰が見ても明らかだった、細められた目は時折かっと見開かれ
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