HHM講評/香瀬
 
、筆者が「atom」「原子」という言葉にこだわる理由や、ポオからヴァレリーとボードレールの名前が出てきたり、田中氏のツイッター連詩の経験について書かれたりしていくのです。文章は収斂することなく、出てくる固有名詞は他の固有名詞を経験や記憶から掘り起こしていく様はハイパーリンクのようであり、最後に自身を「無数の針」――Wired!――と呼び、本投稿作は終わります。

 澤氏が作品から無数にワイアーを張る配線的手つきで固有名詞を並び立てる手腕を見せるのに対して、田中氏の文章は、まるでそれ自体がワイアーで張り巡らされたオブジェのようで、そのオブジェは、るるりら氏が自身の経験と批評対象をリンクさせたよう
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