HHM講評/香瀬
 
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 いかいか「荒地」の読解を試みた意欲的な散文です。作中で用いられている「荒地」と「原野」という語彙を対比的に捉え、まず「荒地」を「言葉が根付か」ず、しかも「秩序がないどころか、混沌さえない」「語り終えた沈黙」として読み解きます。それに対して、「原野」を「穏やかで秘匿的で、触れられていないプリミティヴを保存」している、つまり「語られなかった、未言語化の領域」と捉え、何もなくなってしまった「荒地」を通過したからこそ顕現する「間とも沈黙ともいえる広大無辺な領域」と読み解いてみせます。

 対象作品を読み取る手つきは
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