躯は踊る、無作為なときの中を、ひとりで/ホロウ・シカエルボク
いで、このようなところまで流されてきてしまったのだ―と
水中から大きく突き出た石にはまるで気がつかなかった、ずっと波に隠れているせいだ、草の船はその石に弾かれ、おれは落水し、ピンボールみたいに回転しながらあちこちへ弾かれ、身を削られ、ポケットへ落ち込んだ、その下には水辺からはぐれることが出来る陸地があり、血と水に塗れた俺はそこに横たわりほどなく息絶えた
そしておれの躯はふやけて、皮と肉と骨が次第に分離していった、臓器たちが蛇や海月のようにのそのそと這い出して己が身を絞って川の水を吐いた、それから猫のようにぶるぶるっと震えると整列し、そこから次第に溺れなかったおれが生成されていった、それ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)