躯は踊る、無作為なときの中を、ひとりで/ホロウ・シカエルボク
それはまるで孵化のようだった、実際、身体は始め無色透明で、思い出したように色をつけていった、生成された俺は細かいところから順番に身体の動きを確かめ、それから川の流れを見つめ、もう過ぎたことだというように首を横に振った、そしてなんのあてもないが川の側にある森の奥へとゆっくりと歩いて行った
そうして俺は目覚め、例の台所で湯を沸かし、インスタントのコーヒーを入れて飲んだ、まだ早い朝の日は礼儀正しい新聞配達人のようで、空気は川の水のように頑なに冷たかった。
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