動機/三田九郎
 
味じゃない。突き放されているような断絶を感じてしまって、近づけないし、近づく気になれない。

 「あんなのは詩じゃない」とか「こんなのは詩じゃない」とか、そういうことを言いたいのではない。あれもこれも、書く人が「これは詩だ」と思って書くものなら何だって詩なのだ。そういう度量の広さが詩のよさなのだ。そういうことにしておかなければ、何よりも僕の詩が「詩ではない」「おまえなんか詩人じゃない」ということにされてしまいかねない。

二 小説について

 小説を読んでいてたまに思うのは、これだけのことを伝えるためにここまでの物語が必要なのだろうか、ということ。

 例えば「前向きに生きていこう
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