荒れ地2/……とある蛙
父親の威厳は喪失されたが
相変わらず外で食い扶持を稼いで
餌を求めて口開けている雛たちに
放り込む、豊かさ、教育、文化
全て与える父親達
予期せぬ隣国の戦乱と持ち前の勤勉さが
彼ら父親に「我らの時代」をもたらした
彼らが生還してほんの二〇年
「我らの時代」がやってきたのだ。
モダン清潔美食文化
成功者でない者も
成功者のような生活を享受する奇妙な時代
累々とした契約書の山のなか
相手に足下を掬われぬよう
細心の注意を払って取引を行う。
いつしか自分の背後の社会が後ろ盾となって、
自分の信用が、ではない。
肩書きの持つ信用だと気づくどころではなかった。
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