【HHM参加作品】「荒地」/すみたに
 
と変貌を遂げることを意味する。原野は荒れ地と違い、穏やかで秘匿的で、触れられていないプリミティヴを保存している。つまり、語られなかった、未言語化の領域がひろがる。これは語り終えたのちだからこそ、同時に共現前する間とも沈黙ともいえる広大無辺な領域。沈黙とは何たる豊かさであろうかという、転倒、いや、真実。
それは大海原を見つめるがごとき、あるいは、大平原を見つめるがごとき眼差しにはしかと実感される話である。

>私たちの野に開かれた田畑
>夜、田畑につみあがる子供たちが降りてこない
>私たちはそしてまた出て行くでしょう
>私たちの背骨から生える
>多くの原野
[次のページ]
戻る   Point(4)