【HHM参加作品】「荒地」/すみたに
」は乳母の話を聞かされる。つまり問うことは許されても語ることは許されず、未だ言葉を見つけられない状態である。そして狼とともにあることとは森の中にあることでありそこで火を司ること(刀自=乳母の役割)は、山姥(リミナリティ)を髣髴とさせ、神との出会いをもとめること=雨乞いを行っている様を描く。また、雨乞い、そして山姥は同時に田の神でもある。乳母はいずれ耕された土地をもたらすのか。そこには植えられた稲の実りは齎されるのか。だが、荒地は燃やされて、そこに雨が打つ。雨が打つとはリズムを知ることである。切れ目を知ることである。また、それによって、耕すことなく、既に拓くべき土地「原野」が展望されることが示唆され
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