【HHM参加作品】「荒地」/すみたに
待つ。だが荒地が原野となり、定住する田園となったところで、それは、先の家族的叙事詩を思い出せばわかるように、この「私たち」の使命は既に決まっているのだから無意味なこと。「出ていかねばならない」のは、定住の場所、用意あされた場所であり、田畑は荒地と同じとなる。ただ秩序正しく整然と、綺麗にさえ見えてしまうだけで、変わりない乏しき詩作。言葉は新たに語られなければならない。いつかの「過去」を語り継ぐように、沈黙は再度語りを用意している。だからこそ作者はここで多くのものに語りかける。そして予言するのだ。それは断定といってもいい。叙事詩的運命には常に円環的定めが潜まれている。春が終わり、収穫も終わり、再び冬が
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