虹色の風/草野大悟
 
たちは山に登る
次の日 わたしたちは海に潜る
また 次の日 わたしたちは風に乗る

ミストのなかを
ゆくえをなくした幽霊のように彷徨っているわたしたちが
血の色に染まってやせ細る初夏
向日葵は輝きを奪われ
ただ 白く横たわっている

ぱたぱた ぱたぱた
  ぱたぱた ぱたぱた
 ぱたぱた              ぱたぱた
        ぱたぱた             ぱた
ぱたぱたぱた

ミストの漂う樹海で あなたは 遠い風を想うのだろうか
向日葵のころ あなたは 遠い遠い記憶を書き綴っていたのだろうか
向日葵のころ あなたが初めて書いた恋文は いまでも空
[次のページ]
戻る   Point(3)