ピアニスト・シンデレラ。/元親 ミッド
人の女性が立ちあがり
カフェの奥に置いてあるピアノの前の椅子に座ると
静かにピアノの演奏を始めた。
小さなカフェが、やさしい灯りと、
ピアノの美しいうた声で満たされて
彼らは、うっとりとそのメロディに耳を傾ける。
その後もピアニストたちは、代わる代わる演奏を続けた。
東京から、わざわざ来た者もあった。
普段は、病院でお医者さんをしている者もあった。
ただ、聞きにきているだけの者もあった。
だけど、みな一様に、ピアノが好きな人たちであった。
やがて、世界は音楽のスコールに見舞われて
ピアニストたちは、ピアノを演奏
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