白と水(Private Nocturnal)/木立 悟
 




じりじりと国が焼け
冬は飛び立ち
うなじをうなじに見下ろしている


午後の蛾の羽
雪と咽の下
噛めば透り
放せば 海となる


誰かのこだま
左の痛み
光と光
陽と灯の居場所
分子と空の
わずかな差異


冬に冬を乗せ
安心している
あなた以外の
すべてのあなた


土の音が一巡したら
星は近づいてくるかもしれない
誰もいない家を今度こそ
照らしてくれるのかもしれない


午後の外が紅いので
すべてがすべてにはばたいているのだと知る
のがれようもない苦さ
苦さ


冬は常にふたつ笑み
ひとつを選ぶことさえ
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