「ちくわ男と紳士」/ドクダミ五十号
「頭脳労働をすれば良いとか思ってねえか?
とんでもねえ話だ〈馬鹿は馬鹿に拠って作られ
維持される〉って聞いたり読んだりした事がねえだろう」
どの時点で紳士が答えるか苦味を口内と心底に分泌させ
て ちくわ男は待った 紳士の答えを
ちくわ男は知っていた
紳士は頭脳労働者で
出来無い者から奪う事が得意だと
実はしゃんとしているのは
ちくわの上に乗った
小賢しい頭脳だけだ
紳士に自嘲するだけの頭脳があるだろうか?
これも矛盾した事である
無理なのだ
およそ「差別」とは
都合良く他者から奪う方法なのである
答えを待つ間
ちくわ男は更に考える
人参は何処へ
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