葡萄/紅月
の体液が流れ出ているのを、
小舟のうえから胎児は認めた、
琥珀色の血溜まりに、
あわい月が咲き、そこへ、
夥しい数の卵を産みつける魚、
泡がくるくると浮沈する、
白い獣が濁った眼でそれを見ている、
卵は水面を覆い、
まるで魚の鱗のようだった、
卵の鱗を持つ魚が、
さらにそこへ
卵を産みつけるのだろう、
しだいに
窮屈になっていく
血溜まりの、
あちらこちらに、
四肢の折れ曲がった
卵が見える、と、
比喩して、
それが屈葬なんだよ、
乾いた血がなお乾くまで、
?.
少女は、
架空の傷をつくり、
架空の血を流した、
魚が、泳ぐ、波間
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