葡萄/紅月
波間に、
咲く、月を、
乱す、少女の、
尾鰭からぽろぽろと
子音が零れては、
水底に沈んでいく、
水面/原野を、白い獣が
駆けていく、四足は
どこまでも平たい、
平たい祈りは、
しだいに湾曲し、
そのうえを往く小舟は、
多くを載せられないから、
といって、
胎児たちは、胎児たちを、
小舟から突き落としては、
残った胎児も、
窮屈だから、
といって、
四肢を折り曲げ、
屈葬のかたちをする、
そして、折り重なった、
胎児たちの死体が、
夜をくだって、
河口から産み落とされていく、
産み落とされていく、
灰色の歓声、の、
暗い、深まりから、
手を引かれたrhythmが、
浮沈する、
浮沈する獣たちの、
濁った眼、
響く、あおい玉音の骨。
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