葡萄/紅月
 
の、
陸/水のうえを木の小舟で渡り、
産み落とされていく胎児は、
嬰児と呼ばれるようになって、
母音を持った、

夜をくだりながら、
母音を持たない胎児は、
木の小舟に乗って、
風化の及ばない文脈にいる、

いまだ昏睡する少女の、
鰓が開閉するrhythm



?.

原野を駆ける獣たちは、
みな白く、やがて、
屈葬されるのだから、
触れてはならないよ、
しだいに湾曲していく原野の、
あちらこちらに、
四肢の折れ曲がった
白い獣の死体が見える、
象ることをやめてなお、
一切の翳りも見えないその、
白い毛皮と肉塊のあちこちから、
琥珀色の体
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