径と鏡/木立 悟
今日の夕陽には何もなく
昨日の夕陽からあふれ出る
押しやられ抄われた砂の光
夜の通りを歩む水
冬を割ると
現われる声
背中より高く
消えてゆく
夜の茂み
宙の月
ぐるりと淡い
無の輪の淵
水底の音
ひとつの時計
絵本を閉じる
紋がひろがる
銀も赤も呑む夜が
透る腹を見せている
無数の紙に
白しるす夜
音の外のけだもの
羽と脚は別々に響き
小さな三角のあつまりの曇
何かを謝るように昇る
樹が作る馬
帰れない馬
水を越え
暗がりに染まる
風と光で
手のひらになる
こぼ
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