途切れたものはいつもかならず手の届かない場所にしか居ない/ホロウ・シカエルボク
そゆるぎないという事柄がときにはあるものだ、三段目の引き出しにはノートが入っていた、ぱらぱらとめくってみたけれどどこにもなにも描かれた様子はなかった、それはページをめくる前から判っていた、おそらくどこかに一枚、破られたページがあるのだろう、ついさっき入って来た玄関のところでコトリと小さな音がした、振り返るとそこには短い茶色の毛の猫がいた、あらゆる悲しみを一通り終わらせてきたみたいな顔をしていた、ひらひらと手を動かして呼んでみたけれどうつむきながらまたどこかへ出て行ってしまった、たぶんわたしじゃない誰かならよかったのだ、だけどそれはわたしにはどうしようもないことだった、四段目の引き出しにはなにも入っ
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