途切れたものはいつもかならず手の届かない場所にしか居ない/ホロウ・シカエルボク
 
が空いていて、そこから下界の喧騒がかすかに聞こえてくる、本格的に道路が騒がしくなるには少し早いのだ、音とともに入り込む風は、出来の悪い音符のように埃っぽい、ポータブルラジオの電池は切れているらしい、どこかの引き出しに別の電池が入っていないだろうか、それはきちんとあらゆるものに通電出来る電池だろうか、わたしには電池を捨てるという習慣が無い、わたしの部屋のあらゆる引き出しに、もうどんなものも動かすことが出来なくなったさまざまな形状の電池が埋もれている、恐竜の化石のように、もっとも、もう一度発見されたところで化石のような興味などそこにはありはしないけれど、わたしはゆっくりとたったひとつだけのローチェスト
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