冬の日/ホロウ・シカエルボク
 
思慮深い顔をして頷いたなら
彼は湖の底で水を飲んだように死んでいったことだったろう


たくさんの木が植えられた広い公園では
たくさんの詩や音楽が枯葉のように次々と散っていた
似顔絵描きが出来が気に入らない客に胸倉を掴まれていた
老婆は棺桶を探すように芝生に腰を下ろし
同じように草臥れた犬の背を撫でていた
ポール・オースターの小説に出てきそうな
古臭いスーツを着た若い酔っ払いが
湖を眺めるためのベンチに寄り添って静かに嘔吐していた
ショコラの上にちりばめられたパウダーシュガーのように空気に混じる氷がキラキラと輝く陽射しの中で
今日という一日に絶望した
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