戦闘少女、戦闘少年/片野晃司
 
うとしている僕/私の視点から、きみ/あなたの身体の詳細が明らかになってくる。光沢から肌目、肌目から微細な産毛、汗腺、そこからさらに衝突していき、方形に仕切られたひとつひとつの単位が見えてくる。さらに視点は衝突していき、きみ/あなたの中で僕/私は消滅する。わらっちゃうよね。わらっちゃうね。きもちよすぎてね。このままこの紙ぶち破って外まで出てみようか、このかっこうのままで。

 襖で仕切られた四畳半の、大きさの異なる箪笥がいくつもあり、埃避けの布を掛けた雛壇があり、その隙間にすっかり平たくなった綿布団があり、そこで僕は少女である。そこで私は少年であり、あなたは少女であり、つりあっているから僕ときみ
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