戦闘少女、戦闘少年/片野晃司
 
そうして襖を荒々しく開くたびに、その開ける瞬間の一瞬前まで、そこに誰かがいた気配がする。いま僕は少女で、いま私は少年で、なにもかもがまんできない。

 どこかで戦いの音がする。高空で一機の飛翔兵器がもう一機に空中衝突しようとしている。照準の中心に捉え、加速する。翼端をかすめて反転し、そしてまた反転。美しく整備された機体がきらきらとしなやかに伸び上がり、気流に沿って反り返り、腰のあたりを中心にして回転する。操縦される私、操縦される僕、ゆびさきが曲げられ、つまさきが曲げられ、うでが曲げられ、あしが曲げられ、微細な電撃が走り抜ける。

 それをしてみたかった、いちどしてみたかった、このあいまいな
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