燃えないゴミ/佐々宝砂
それはわかってる、と、贋者の、手妻の、借り物の、ゆらゆらする残像でしかない「私」が言います。でも、全部、嘘です。
唄にさえ許されない。他人から借りてきた言葉にさえ許されない。詩にも、散文にも、許されない。もちろん今書いているこんなものが詩でないのは先刻承知です。こんなものはゴミです。落書きです。けれど、こんなものの中でさえも、ある種の言葉は禁じられています。「あなた」は「唄にさえ」と言うべきではなかった、「ゴミにさえ」「落書きにさえ」許されないと言うべきでした。
「私」もそうですが「あなた」は、がんじがらめに縛られています。「あなた」と「私」に許されていることは、笑って受け容れることだ
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