燃えないゴミ/佐々宝砂
 
とだけのようです。ええ、あらゆる表情のうちただ笑顔だけが許されています。薄ら笑い、含み笑い、ほくそ笑み、微苦笑、苦笑、冷笑、嘲笑、憫笑、呵々大笑、失笑、哄笑……

でも。でも。でも。せめて。

せめて。

ゆらゆらする残像を頼りなげな影にゆだねたいのだと告げたい、
大口あけてげらげらとバカ笑いしながら告げるしかないとしても、
それでも、それは、夜の箱の中で「私」が「あなた」に贈りうる、最も甘い囁きです。
戻る   Point(1)