燃えないゴミ/佐々宝砂
 
もさらに薄く不毛な空に漂って。


あ。


いま「私」も消えました。身体さえ消えました。身体などもとより「私」のものではなかったのだけど、でもそれはさっきまではとにかく実在のものでしたのに。

空虚な洞穴に残像だけが揺らぎます。
もうこれ以上消えようがありません。消えたのですから。
死にようもありません。生きていないのですから。


ところで、あなたはいるのでしょうか、本当に存在しているのでしょうか。すべて幻だと言いながら、あなたの存在だけは信じるなんておかしい、と真っ白なウィンドウが言います。ええ。わかりました。あきらめましょう。あなたさえも捨てねばならない。「あなた
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