夜と白 ?/木立 悟
あたたかい水が
空の左右を動いている
小さなうさぎの横顔で
あなたが花を見つめるとき
待ちくたびれた蟷螂が
透きとおりながら死んでゆくとき
涸れ川に架かる二重の橋が
銀に緑に消えてゆくとき
色を失くした苺の空が
ゆうるりゆうるり斜めに落ちて
高く空に照り返し
地を道づれに沈みゆく
緑の底に揺らぐ金
霧と陽 影を見上げる目
降る何か すぎる何か
その軌跡によって描かれる何か
蒼の音へ
歩幅は狭まる
月を捜して
見つからずに
追い払う手でかけらを拾う
夜と窓のあいだの
ひとつのしるし
空へ斜めに 遠の
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