夜と白 ?/木立 悟
 
遠のくしるし


息を潜め
息を飲み込み
雪が雪に触れるより早く
速く


橋の陰を 色と光が
脚を残してすぎてゆく
誰かの群れがひとりになっても
星は巡り 頬をひたす


曇を見た
降り立つ建物を見た
心も灯りも無く
音の手に引かれる人々を見た


器を受ける器には
どれほどの手と舌が在っても足りぬ
街も崖も埋めるほどの
雪や羽が在っても足りぬ


抜き差し抜き差し
樹は冬の縄を飛びつづけ
飛べないものから地に倒れ
白に白に染まりゆく


あなたはずっと横顔のまま
けして他を向くことはない
火を絶やさずに裸に倒れ
片目の夜を招びつづけている

































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