慢性凡人病、「わたしは死にたい」/すみたに
いまさらなんでも賭ければいい。
誰も悪くは言わない。誰もが生きて報いを受けるべきだから。
五
死んだら人生を
終えられるとは、とんだ自惚れではないか。
一度生を受けた以上、
死すらも生きてしか得られない。
一度生まれたものは、
いつまでも死ぬことができない。
死は落ちていないから探しても見つからない。
生だけが、そこらへんにも転がっている。
誰もが人生を終えたくて、
踏切や高層ビル、病院に死を探しに行くが、
見つかることなどなく、疲労と飢え、癒しと無欲に、生を痛感する。
死ぬことができるものは、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)