慢性凡人病、「わたしは死にたい」/すみたに
 
は、生を掴もうと、
  見ず知らずの生を拾おうと身を屈め、隙をつくったものだけだ。
  それは一瞬のうち、鉛の玉となって飛んでくる。生を喜びながら受け取るがいい。

  六
 
  天才の影には凡人がいる。
  だが、もっと眼を凝らすがいい、
  天才の影が凡人によってつくられているとは、
  どういう意味かを汲み取るのだ。

  知るならば、真理のみを。
  いつでも正しいものたちの言葉は、
  得意満面な色つやにギトギト照っている。
  実に健康的な顔色が、偽りの太陽を水面に浮かべて、

  月より冷え冷えと笑っている。
  不幸は下水のように川に流されて、
  にぶい虹色に移ろい、ありとあらゆる生を映し出す。

  死ぬならば、天才に殺された方がいい。
  自殺するなら、天才でなければならない。
  そして、「特権者しか、いはしないのだ」。
戻る   Point(1)