男と女のにぎりめし/ドクダミ五十号
なの?」
うんざりである 俺とオマエはインスタントじゃなかったろうよ
「黙って見ておけ」それが俺の答えだ
卵液を残りの粉に加える ぞんざいに混ぜる お構いなしに
不手際と思える事が 実は手際の妙なのだよ
油の温度は菜箸の先でわかる 今!
ちくわに衣をまとわせるのだ もちろん指で
静かに大胆にそのまま油に投入するのだ
女「えっ?指が油に!!」
「火傷はしないのだよ、感覚は逆で冷たいんだぜ」
体験した事があるまいな 黙っておれないほどに驚くのだから
指に付着した衣を熱に踊るちくわに浴びせる
「花が咲く」と形容される状態をちくわは呈
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