男と女のにぎりめし/ドクダミ五十号
 
あおさを加える

茶碗に生卵と水を入れて攪拌

ちくわは竹槍の先端の様に斜めの切り口にする

それをボールに投入し粉まみれにするのだ

「え?なにそれ」女は知らないようだ実は天ぷらとは蒸し焼きと

「いいかい、素材が直接油に触れない事が重要なんだよ」と俺

余分な粉をはたき落としながら俺は女との関係を考えた

「俺は粉まみれで窒息しそうなちくわに似てるな」

「直接的な熱から逃げて、蒸し焼きにされる」

「身を焦がす触れ合いは上品では無いけれど、蒸し焼きほど残酷じゃない」

思考を破る問いかけが女の得意技なのである

「ねえ?最初から衣を付けちゃだめなの
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