花火/葉leaf
 
心情で楽しんだ。当時、私と妹を隔てるものは何もなかった。花火を楽しむ私と妹は、その楽しみを共有し、私はそのとき判然と妹を愛していることに気付いた。――Aよ、いずれお前も世の中に出る。そのときお前は波間をうまく泳いでいけ。他人の悪意の慰み者になるな。それ以前に他人の悪意を誘うな。――私は妹のことが心配だった。

それから13年が経つ。妹は立派な大人の女性になり、働き始めた。妹は自分の下着を自分のネットに入れて洗うようになり、妹の部屋に入ることは何となく絶対的に禁じられ、妹には恋人もできた。私と妹の間にはいつしか隔たりが出来上がってしまい、妹は私と込み入った話をすることを避けるようになった。だが私
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