荒業地帯のパペット/ドクダミ五十号
がまるで三階くらいの高さから
哀れな雇われ人を眺める様に男を見て
子供同士の会話の中で落ちぶれた浮浪者だ
ペイデイに男に渡されるのは明細と言う迷彩
つまり実際も心象も希薄な紙片なのだ
労働の結果としては味気ない
いっそジャムなど塗って渡してくれ
交代の時間を知らせるベルが鳴る
残業が死語となりタイムレコーダーが陰湿だ
ダッコン!厚紙を伝って指に伝わる”!”は
最早労働からの開放という晴れやかさを失った
モーターの唸りとバイトとワークの囁き
克っては恋人の様だったそれを聞きながら
若草色の床の途切れの向こうに一歩踏み出す
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