matria/紅月
る、
わたしの、
背中から、ひらがなが、
洪水する、まるで、
とりのはねみたいに、
すみずみまでゆきとどいて、
母が、母する、母に、
かしずく、鳥の生身だけが、
赤い血を流している、
ちを、流す、という祝日に、
かしずく、わたしの生身が、
あたりには散乱している、
産卵している、)
昏睡と覚醒の波を描くようにして
凪いだ風にまどうカーテンの
はざまから片翅の黒蝶があらわれ、
ははのはなに留まる、
ははのはねに留まる、
吐血する、
ははの口からは、
青い液体が垂れている、
音もなく黒蝶はそれを吸う、
ははの、ははの、ははの、ははは、
街の正しさ
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