matria/紅月
 
の細い首に、
ゆびを絡める、はくちゅうに、
ははの、となりに、
今更、立ち尽くしている私の、
私の身体は赤い砂にかわる、
わたしのからだは赤いすなにかわる、
(凪いだはずのかぜにさらわれ、)
ははのはな、(留めて、)
ははのはね、(留めて、)
ははのはは、(留めて、)
物語性は、
血を吐いて横たわっている、
乱立する白い建物のひとつで、
(あちこちで、)
ひのてがあがる、
つめたく燃えるみなそこ、
うでを伸ばす、
おとが鳴る、(途端に、)


ただひとつの自殺は
既に遂げられていたのだと
気づく、陽が、
暮れることのない窓辺で、
私の、母に似た、
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