matria/紅月
りもないまま、
奇形の影絵たちは
文脈の勾配に沿って
日本語の墓場へと巣立ち、
やがて、ここには
うつくしさへと復讐を
つづける卵の殻だけが留まる、
(それら破片を、
(繋ぎあわせ、
(元のかたちに
(戻そうとする私は、
(母と同じように、
(かげをかげの係数で割りつづける、
割りつづける、
(とりは鳥の訃報をたかく歌い、
音もなく歌われたうたが
ぱらぱらと結晶し、そそぐ、
豪雨、
の中心で、
あやまちは、
誤った形式を通過しながら、
影絵で遊ぶわたしの
青い血液を焚書していく、)
つぎはぎの神話は、
病室であわく灯りながら
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