溜息/レイヨウ
 
足できないから

ここに来て
確かに触れて
匂いを感じて
掴みたい

掴むって、何を
そこには彼が吐き出す
宇宙しかないのに

真空?


いつも今一掴み切れない私は
こうして魅力的な異世界に潜っていく

逃避癖。

画数の多さに魅了され
飲み込みきれない行間を黙々と嚼(か)み続ける

滑稽。

振動数を拾い集めて
脳が揺さぶられて段々足が浮いてくる


さぁ、手を振って。  とは、いかず。


虚無感が付き纏う
穴の開いた傷口の端がぐずぐず痛む
ゆっくり、ゆっくり、
蝕んで


ふと、思い出す。

よく歌唄いは云
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