溜息/レイヨウ
は云う
僕の歌は、私の歌は、いつでも君の傍に。
傍にいるから何だ
寂しくないように、と?
それが何よりも寂しいことなのに
寂しさを突きつけてるのは
そういう言葉と貴方の歌なのに
高々歌じゃない。 とは、いかず。
中で膨れ上がるものが言語化されれば
ありふれた恋の歌が出来上がった
それが何よりの証拠
私は彼の歌に恋をした
挑戦することも出来ず
距離は保たれたまま
永い一瞬は、こうして続く
すべて抱えて
涙に変換することも敵わず
胸の鉛玉がまた二酸化炭素を生産する
それを吐き出す作業を
永い一瞬の中で繰り返す
ある冬
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