月の嗤うさき ー第二稿 /……とある蛙
 
行き先をブラインドし

森の中央から降る
得たいの知れないチャフ
天空から降り注げば
幸せと思うほど
類人猿は気楽ではない
その一枚を咥え

また歩きだす。
チャフの散布で
また方向が不明となった
類人猿は空腹を覚え
枝の中途にある鳥の巣に気づき
卵を掠め取る。

    6

成り成りして成り会わないところと
成り成りして成り余っているところを
刺しふさぎて

霧に包まれた丘の上に浮かぶ洋館
その二階の出窓は開け放たれ
類人猿の咆哮が丘の下まで響き渡る

すべて霧の中 洋館の輪郭は滲んでいる

咆哮
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