月の嗤うさき ー第二稿 /……とある蛙
想念が横切る。
そして、
そして、孤独、寂寥感
悩みという名の荷物を背負って
沼の周りの黄色い道を歩きだした。
ゆっくりと
3
碧く淀んだ沼の天空に
鈍く光る月明かりを
じっと受けている猿一匹
沼の水面から首を出し
辺りに潜む得体の知れない瘴気を伺い
この沼が池だった頃の
(猿の)古老の話を思い出す
早くこの沼を抜けねばと決意し、
沼の淵を巡りながら
湿気の多い草叢を抜け出した。
あとは山を下りるための坂道を転げ落ちるようにして
疾走した。
とりあえず疾走した。
沼周辺の瘴気に包み込まれ何かに引き摺
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