月の嗤うさき ー第二稿 /……とある蛙
 
してじっと我慢し、そして、待った。

待った待った待った待った
まったまったまったまった

待っている間に彼は眼が悪くなった。
鼻が利かなくなった。
木登りが疎ましくなった。
そして、生きている意味を考えるようになった。

一匹だけ掛かった魚は、
赤い色の魚饐(す)えた臭いを発していた。
それを貪り食らっているうちに
突然恥掻きっ子は脳髄を重く感じた

地上に降り立った彼は真っすぐ天を仰いだ。
天頂には黒い月が輝き星一つ無い。
右腕を真っすぐ上げ
彼は天頂の黒い月を指さした。

彼は 今 ヒトになる。
っと 同時に薄暗い想念
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