月の嗤うさき ー第二稿 /……とある蛙
 
殖のため、イザナミに会うためのつなぎだ。
イザナギは悩む
 もういやだ
 もう二度と歩かない
 
結局何か意味があったのだろうか
俺は何者だ

 イザナギは咆哮する。
 イザナミに向かって咆哮する。

成り成りして成り会わないところと
成り成りして成り余っているところを
刺しふさぐ

真の天照
水蛭子を産ませるため


    7

伊弉諾(イザナギ)の瞳孔は黒く大きく開かれたまま
イザナミを見つめる。

霧の晴れた夜空に
青く光る月の粒子を浴び
伊弉諾はまた咆哮する。

我蘇る
「われは入鹿なり」
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