月の嗤うさき ー第二稿 /……とある蛙
て黒猫を恫喝しようと咆哮した。
黒猫は耳を頭の後ろにつけたまま脅えながら唸ってる。
彼の眼に猿は尋常なものとして映っていなかった。
さらに眼を凝らしてみると猿は異常に大きく類人猿と呼ぶにふさわしい体躯だ。
彼は突然私を見つめこう呟いた
イザナギ
っと
空には青い月
突然地上は濃い霧に覆われた
イザナギは語りかける
不思議な創世記を
創世記の物語を
声は聞こえず
私の頭の中で彼の落ち着いた意識が聞こえる。不思議な創世記の物語が。霧の中にぼんやり浮かぶ森の中
1
霧に包まれた類人猿の咆哮は
全ての音を包み込んだ
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