やがてぼくの言葉は誰にも通じなくなるだろう/ホロウ・シカエルボク
だった、でもすぐに物足りなくなった、そこには何かが足りない気がした、ぼくはぼくなりに考えた、形式的なお約束は一度無視してみるべきだ、それで僕は劇団を止め、自分で台本を書き、劇団で出来た彼女に手伝ってもらいながら何本か短い芝居をやった、それはとても楽しかった、きちんと褒めてくれた人も何人かいた、だけどお客さんは少しも入らなかった、当時はパソコンなんか持っていなくて、チラシやチケットを印刷屋さんに頼んで二〇〇枚作ってもらったりして、そんなことまでしても客入りは二日間で五三人だった、印刷代には七万円かかった、そのころロックシンガーがひとり謎の死を遂げた、若者の代弁者だなんてテレビでは言われてた、彼は誰か
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