オマージュ?/Giton
てその辺の芝草が、もういまごろは鋭く鳴ってゐる筈だ。〔‥‥〕
次にその手紙には、公園のポプラや榛(はん)の木が四季によって、その色やかたちがどんなに美しく見えるかが書かれていた。〔‥‥〕
そして手紙は次のようなことばで終っていた。
若しも君が、夕方岩手公園のグランドの上の、高い石垣の上に立って、アークライトの光の下で、青く暮れて行く山々や、河藻でかざられた中津川の方をながめたなら、ほんたうの盛岡の美しい早春がわかるだらう。」
(宮澤清六『兄のトランク』,1991,ちくま文庫,pp.35-38.)
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こうした賢治であったから、
1924年に出版した生前唯一の‘詩
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