オマージュ?/Giton
 
‘詩集’──『心象スケッチ 春と修羅』の中では、いとも楽天的に、
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 わたくしは森やのはらのこひびと
   (「一本木野」)
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とまで詠っていた。その言葉が、どれだけ‘本気’で言われていたのかは分からない。いや、
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 こんなあかるい穹窿と草を
 はんにちゆつくりあるくことは
 いつたいなんといふおんけいだらう
 わたくしはそれをはりつけとでもとりかへる
 こひびととひとめみることでさへさうでないか
   (「一本木野」)
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と言うくらいだから、作者としては相当に真摯な表白だったのだろう。
しかし、その真摯さに相手も真摯に応じたとき、そこにどれほ
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