オマージュ?/Giton
‘詩集’──『心象スケッチ 春と修羅』の中では、いとも楽天的に、
.
わたくしは森やのはらのこひびと
(「一本木野」)
.
とまで詠っていた。その言葉が、どれだけ‘本気’で言われていたのかは分からない。いや、
.
こんなあかるい穹窿と草を
はんにちゆつくりあるくことは
いつたいなんといふおんけいだらう
わたくしはそれをはりつけとでもとりかへる
こひびととひとめみることでさへさうでないか
(「一本木野」)
.
と言うくらいだから、作者としては相当に真摯な表白だったのだろう。
しかし、その真摯さに相手も真摯に応じたとき、そこにどれほ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)