オマージュ?/Giton
なかばは気を負ってほんたうにさうも思ひ
青い山河をさながらに
じぶんじしんと考へた
あゝそのことは私を責める
〔‥‥〕
あゝ友たちよはるかな友よ
きみはかゞやく穹窿や
透明な風 野原や森の
この恐るべき他の面を知るか
(『疾中』より)
.
つまり、ここで作者が対峙している‘自然’は、都会人の休養の場としての‘自然’などではなく、砂漠や氷雪の山岳のような・人間社会の影響を受けない手つかずの‘自然’でもない。
「あの雨雲と婚すると云ひ/…なかばは気を負ってほんたうにさうも思」った‘自然’とは、
人間がその生産活動によっていやでも交渉していかなければ
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