静寂は長い叫びと似ている/ホロウ・シカエルボク
の
ただの作用に過ぎないとしたものさ
そんなことを考えながら午後の仕事を懸命に流した
帰りにぼんやり自転車を走らせていると
いつもいつの間にか忘れられたような道に迷い込む
閉ざされたシャッターが赤く錆びた商店や食事処の並ぶ通り
朝も昼も夜もどんなときでも
すれ違うものがぼんやりとした影になるくらい薄暗くて
古いテレビやらガスコンロがうなだれた人間のように積み上げられ
記されない時を飲み込んでいく
鉄の粉のような風が吹き抜ける裏通り
ここで眠ったり起きたりしていた連中はいったい
どこで何をして毎日を過ごしているだろう?
生まれた場所から離れることは出来ないのか
割れた植木
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